みなさん、こんにちは!
2019年4月より改正労働基準法が施行されてから、皆様、働き方改革への御社の取り組みはいかがでしょうか?
「中小企業は猶予あるんじゃないの?」「うちのような中小企業は、何すればえ~ねん?」と思われている方もおられるのでは?
今日は、中小企業様がおさえるべき働き方改革のポイントや施行スケジュール等について見ていきたいと思います。
一緒に働き方改革を進めていければ幸いです。
中小企業がおさえておくべき6項目
年5日の年次有給休暇付与の義務付け
使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、付与日から1年以内に5日取得させなければなりません。
有給休暇の取得は、原則、従来通り「労働者からの申し出」として問題ありませんが、年5日の取得が実現しない場合は使用者が労働者の希望を聴取した上で、時季指定により付与する必要があります。年5日の有休付与が義務付けられたことにより、使用者には「年次有給休暇管理簿」等での有休日数管理が必須となります。
また、年次有給休暇の計画的付与等の制度を新設する等、確実に有休消化が可能となる工夫が求められます。
労働時間の客観的把握
現状、適切な形での勤怠管理ができているでしょうか?
使用者は、労働者の始業・終業の時刻や休憩の時間帯について、原則として「タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録」等による客観的な方法により把握しなければならない旨が労働安全衛生法に定められました。
産業医・産業保健機能の強化(従業員数50名以上)
労働者の健康を確保するため、事業主はこれまで以上に産業医との連携を強化していくべき旨が義務となりました。あわせて、長時間労働の従業員については、医師の面接指導の対象が「月100時間」から「月80時間」に拡大されたこともおさえておくべきです。
勤務間インターバル制度の導入
働き方改革は「休み方改革」とも言い換えることができます。
使用者は、勤務終了後から翌日の始業までに一定時間の間隔を設けることで、労働者の適切な生活時間、休息時間を確保させるべきことが努力義務とされました。
※以下は、制度を設ける中小企業にのみ関わりのある項目です。
フレックスタイム制の拡充
従来は「1ヵ月」だったフレックスタイム制の清算期間が「最長3ヵ月」まで延長され、年間の業務繁閑を活かした運用ができるようになりました。
ただし時間外労働の適切な把握や、中小企業においては2020年4月より適用となる「時間外労働の上限規制」との兼ね合い等を鑑みると、正しい制度運用には高度な専門知識が求められることになります。
清算期間3ヵ月のフレックスタイム制導入をご検討中の会社は、社会保険労務士にご相談いただくのが得策です。
高度プロフェッショナル制度の創設
高度の専門的知識等を駆使し従事した時間と成果との関連が高くないと認められる業務に従事する、年収「労働者の平均給与額の3倍」を「相当程度上回る水準」以上(年収1075万円以上)で高度プロフェッショナル制度の適用に同意した労働者については、時間外・休日・深夜の割増賃金を支払わなくとも良いとする制度です。検討段階においては「残業代ゼロ法案」等と非難された制度ですが、2019年4月の施行以降1ヵ月間の適用実績は全国でわずか1名とのこと。適用へのハードルの高さや、企業の慎重な姿勢を見てとることができます。
2020年度には、「時間外労働の上限規制」が中小企業にも適用!
2020年4月からは、いよいよ中小企業にも働き方改革の主要テーマである「時間外労働の上限規制」が適用されます。
時間外労働の上限規制の適用
残業上限については原則「月45時間かつ年間360時間」以内とすることを明らかにしつつ、業務上臨時的かつやむを得ない事情があり労使が合意する場合(特別条項付36協定を締結している場合)にも、遵守すべき時間外労働の上限が設けられました。
※大企業では2019年4月より適用。「自動車運転業務・建設事業・医師等」は2024年4月からの適用とし「新技術・新商品等の研究開発業務」は適用除外とされています(2019年5月現在)
時間外労働の上限規制の適用に伴い、36協定の様式が変更となります。
中小企業においては、「2020年4月以後の期間のみを定めたもの」から新様式にてご対応いただくことになります。
2021年度~2023年度にかけての中小企業の働き方改革
2021年以降の中小企業における働き方改革は、大企業から遅れて施行される改正事項への対応がメインとなります。
ここに挙げる2つのテーマについては、中小企業において労務管理や企業経営に大きく関わるポイントとなりますので、施行時期に関わらず早期から準備を進められることをお勧めします。
同一労働同一賃金の導入
契約社員やパートタイマー、アルバイト、派遣労働者等の非正規労働者に対し、単に雇用形態の違いのみで正規労働者との間に待遇差を設けることが禁止されます。業務内容や責任度合等の違いにより待遇差を設ける場合にも、必ず合理的な理由が必要となります。
※大企業では2020年4月より適用
月60時間超の残業の割増賃金率の引上げ
1ヵ月間の時間外労働について、月60時間を超える残業分の割増賃金率が50%に引き上げられます。月60時間を超えない範囲の時間外労働の割増賃金率は25%のままです。
※大企業では2010年より適用
以上、2019~2023年までの中小企業における働き方改のポイントやスケジュールをご紹介しました。
各制度詳細については、下記よりダウンロード可能なリーフレットからご確認いただけます。
参考:厚生労働省「「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について_各種リーフレット」