「求人サイトに掲載して、エントリーシートを集めて、適性検査をして、面接を重ねて…」
新卒採用でも中途採用でも、リクナビやマイナビといった大手ナビサイトを使う限り、採用フローの骨格はどうしても似通ってしまいます。
会社の規模を問わず、多くの企業が同じような流れで選考を進めているため、候補者からすると「どの会社も同じに見える」という状態になりやすいのが実情です。
しかし、採用フローそのものを工夫することで、他社にはない印象を候補者に残し、結果的に応募の質や入社後の定着にまでつなげている企業があります。
今回は、そんな独自の採用フローで注目を集めている企業を7社紹介しながら、自社の採用ブランディングに応用するためのヒントを整理します。
なぜ多くの企業の採用フローは「同じ」に見えてしまうのか?
大手ナビサイト経由の採用フローは、おおむね次のようなステップで構成されています。
エントリーシート提出 → Web説明会 → 適性検査(SPIなど) → 一次面接 → 二次面接 → 最終面接 → 内定
この型は選考を効率的に進めるための合理的な仕組みですが、フォーマットがプラットフォーム側にある程度規定されているため、企業規模を問わずどうしても均質化しやすいという特徴があります。結果として、候補者の記憶に残りにくく、「なぜこの会社を選ぶのか」を伝えきれないまま選考が終わってしまうケースも少なくありません。
こうした課題に対して、フローの「中身」自体を自社らしくデザインし直すことで差別化を図っているのが、これから紹介する企業です。
独自の採用フローで注目を集める企業7選
1. 株式会社yutori「オタク採用」
アパレルブランドを展開する株式会社yutoriが実施しているのが「オタク採用」です。応募者に自分の「推し」への熱中度を深掘りして記述してもらう、いわば“オタク審査”を選考に組み込んでいます。何かに熱中し、その魅力を人に伝えようとする姿勢そのものを評価対象にしている点が特徴で、雇用形態を問わず広く実施されています。
応用のヒント:スキルや経歴だけでなく「何かに本気で熱中した経験」を可視化する設問を選考に組み込むと、自社のカルチャーに合う人材を見極めやすくなります。
2. トラストリング株式会社「人狼採用」
結婚指輪ブランドなどを手がけるトラストリング株式会社は、選考に人狼ゲームを取り入れています。ゲームを通じて論理的思考力やコミュニケーション能力を見極める手法で、スーツ不要のオンライン選考として実施されているのも特徴です。ゲームという共通体験の中でこそ見える素の判断力や対人スキルに着目しています。
応用のヒント:面接という一対一の緊張状態ではなく、チームでの共同作業やゲームなど「素が出やすい場」を選考に組み込むと、面接だけでは見えない資質を評価できます。
3. TAKEUCHI株式会社「いつものあなた採用」
TAKEUCHI株式会社が行う「いつものあなた採用」は、応募者が最もリラックスして力を発揮できる場所(自宅など)を自ら指定し、面接官がそこへ出向いて面談するというユニークな選考です。慣れない会議室で緊張した状態ではなく、素の状態でのコミュニケーションを重視する発想から生まれたフローです。
応用のヒント:選考の「場所」を候補者側に委ねるという発想自体が独自性になります。全面的な導入が難しくても、オンライン面接の背景や雑談時間の設け方など、部分的に取り入れることは可能です。
4. スターティア株式会社「ポーカー採用」
IT関連サービスを展開するスターティア株式会社は、ポーカーを使った選考「ポーカー採用」を実施しています。ゲームを通じて戦略的な思考力や状況判断力、対人でのふるまいを評価し、上位者には最終面接の免除といった特典を設けているのも特徴です。ゲームの結果そのものよりも、判断のプロセスや振る舞いを見ている点がポイントです。
応用のヒント:「特典付きの選考ゲーム」という設計は、応募者にとって参加自体を楽しみにしてもらえる仕掛けになります。評価基準を明確にしておけば、単なる話題づくりで終わらない選考として機能します。
5. 東急エージェンシー「留年採用」
広告会社の東急エージェンシーが実施する「留年採用」は、留年・浪人・休学といった、一般的にはマイナスに捉えられがちな経験を「個性」としてポジティブに評価する採用枠です。学生時代の“寄り道”をどう捉え、そこから何を得たかというストーリーに価値を置いています。
応用のヒント:経歴の「空白期間」や「遠回り」を減点対象にせず、むしろ本人の思考プロセスを知る材料として質問設計に組み込むと、経歴だけでは測れない魅力を持つ候補者を見逃さずに済みます。
6. 面白法人カヤック「推しプレゼン採用」「42.195km採用」
面白法人カヤックは複数のユニークな採用枠を持つことで知られています。「推しプレゼン採用」はSNS上に「#推しプレゼン採用」のハッシュタグをつけて自分の“推し”への愛を自由な形式でプレゼンしてもらうもので、新卒から中途まで幅広く対応しています。また、ITエンジニア限定の「42.195km採用」では、フルマラソンを完走することで書類選考が免除される仕組みになっており、目標に向き合う姿勢や継続力を評価しています。
応用のヒント:1社で複数のユニーク採用枠を用意し、それぞれ対象や評価軸を明確に分けている点が参考になります。「何を評価したいフローなのか」を先に定義してから設計する順序が重要です。
7. サイボウズ「複業採用」
グループウェアを展開するサイボウズは、フローそのものというより「雇用の形」を再設計した事例です。自社での仕事を副業・複業として担ってもらう「複業採用」を導入し、個人が本業を持ちながらスキルを活かせる関係を構築しています。選考のゴールを「正社員としての内定」に固定しない発想が、他社との明確な違いになっています。
応用のヒント:フルタイム前提の採用にこだわらず、複業・業務委託など関わり方の選択肢を用意すること自体が、候補者にとっての“独自性”になり得ます。
自社の採用フローを見直すときの3つの視点
ここまでの事例に共通しているのは、単に「変わったことをしている」のではなく、フローの目的が明確だという点です。自社で応用を検討する際は、次の3つの視点で整理すると設計しやすくなります。
- 何を見極めたいフローなのか先に決める:熱意なのか、思考力なのか、対人スキルなのか。評価したい資質を先に定義してから手法を考えます。
- 候補者にとっての体験価値を意識する:選考自体が「参加してよかった」と思える体験になっているか。話題性だけを狙うと、候補者の負担が増すだけで逆効果になることもあります。
- 無理に全面模倣しない:紹介した事例をそのまま真似るのではなく、自社のカルチャーに合わせて一部の質問設計や場の設定だけを応用するのでも十分効果があります。
フローの独自性を「伝える場」としての採用サイト
どれだけ独自性のある採用フローを設計しても、それが候補者に正しく伝わらなければ効果は半減してしまいます。フローの背景にある考え方や、実際に選考を受けた社員の声を丁寧に発信できる場として機能するのが採用サイトです。
私たちは名古屋を拠点に、採用サイトの企画・制作を行っています。「フローは工夫しているが、うまく伝えきれていない」「採用ブランディングを何から始めればいいかわからない」という場合は、お気軽にご相談ください。
WEBサイトに掲載のない、これまでの制作実績もあわせてご紹介可能です。




