高齢者の色の見え方

こんにちは!デザイナー・M U D(メディアユニバーサルデザイン)アドバイザーの冨田です!
前回、日本には3,500万人以上の高齢者がいるとお話ししました。今回はその高齢者の「見え方」についてご紹介したいと思います。

40代以降で変化する「見え方」

年齢を重ねると、目の「水晶体(レンズ)」も老化していきます。特に40代以降は、白内障を発症する人が増え、80代になるとほとんどの人に何らかの症状が見られるといわれています。

水晶体は紫外線の影響で黄白色や白く濁っていき、視界が茶色がかったサングラス越しのように見えるようになります。これが「白内障」です。

白内障になると、「白っぽく見える」「目がかすむ」「明るい場所でまぶしく、見にくい」「色の区別がつきにくくなる」などの症状が現れます。
このような症状はゆっくり進行するため、見え方の変化に気づかない人が多いです。手術で改善することもできますが、そのまま生活している方も少なくありません。

高齢者にとって“見えにくい色”とは?

加齢により水晶体の透明度が低下すると、特に「青」などの短波長の光が目に届きにくくなります。

色覚障害者と高齢者では見分けやすい色が異なり、例えば次のような色の見分けがつきにくくなります。

(見えにくい色の例)
・コントラストの低いもの
ネイビーと黒
緑と黒
赤と赤紫
青と青紫
白と淡い黄色
水色とベージュ

見やすくするための工夫

高齢者にも見やすいデザインにするためには、以下のような工夫が必要です。

• 明度や彩度の差をつけて「コントラスト」を出す
• 文字に「縁(ふち)」をつけて区別しやすくする
• 色同士の間隔をあけて、境界をわかりやすくする
• 色の配置や並び方を工夫する

など

まとめ

高齢者や色覚障害の方やにも伝わりやすい色彩設計を行うことで、より多くの人にとって「使いやすいデザイン=ユニバーサルデザイン」となります。

もちろん、どこまで配慮を取り入れるかはデザインの目的や状況によって異なりますが、「伝える」ことを大切にするデザイナーとして、常に意識し、検証していく姿勢が大切ではないでしょうか。