こんにちは。ZEROBASEブログ担当の松永です。
みなさんは、「著作権」についてどのくらいご存じでしょうか?名前は聞いたことがあっても、その中身についてはあいまいな方がいるかもしれません。
弊社の扱うGoogleビジネスプロフィールは、各企業のオーナー様・担当者様で直接更新が可能で、最新情報の欄はSNSの投稿のように使えます。
GoogleビジネスプロフィールだけでなくSNSを活用している企業様も多いと思いますが、普段何気なく使っている投稿写真に思わぬ落とし穴があるかもしれません。
・写真にフリー素材を使いたいけれど、本当に問題がないか?
・写真にキャラクターが写ってしまった。著作権に触れるのかどうか?
このような疑問を解消し、正しい活用方法をご紹介します!
〇著作権とは?
著作権は、文化庁が管轄しており、権利を適切な方法で保護し文化の発展を促す法律です。
著作者の権利には大きく分けて2つあり、
1.著作者の財産的利益を守るための”著作権(財産権)”
2.著作者の精神的利益を守るための”著作者人格権 ”
上記のように分類されています。
文化庁によると、著作者・著作権とその目的については以下の通りです。
著作権の目的→「著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
著作者→「著作物を創作する者をいう」
著作物→「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」
著作物には創作した時点で自動的に権利が発生するため、ネット上にあるすべての創作物が著作権で保護されています。
そのため、基本的にはどの著作物であっても、使用する際には著作者の許諾を得る必要があります。
主な著作物の種類は以下の通りです。
言語の著作物 | 講演、論文、レポート、作文、小説、脚本、詩歌、俳句など |
音楽の著作物 | 楽曲、楽曲を伴う歌詞など |
舞踊、無言劇の著作物 | 日本舞踊、バレエ、ダンス、舞踏、パントマイムの振り付け |
美術の著作物 | 絵画、版画、彫刻、マンガ、書、舞台装置、茶碗、壺、 刀剣等の美術工芸品 |
建築の著作物 | 芸術的な建築物 |
地図、図形の著作物 | 地図、学術的な図面、図表、設計図、立体模型、地球儀など |
映画の著作物 | 劇場用映画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトの映像部分などの 「録画されている動く影像」 |
写真の著作物 | 肖像写真、風景写真、記録写真など |
プログラムの著作物 | コンピュータ・プログラム |
画家や小説家などのクリエイティブな仕事をしている人だけでなく、学生がレポートや論文、さらには思い付きで歌った鼻歌などにも著作権があります。
著作物の種類は多くありますが、SNS更新やGoogleビジネスプロフィールに関わってくるものは、主に「写真の著作物」と「言語の著作物」です。
〇著作権 迷ったときに気を付けたい3つのポイント
著作権はここで書き切れないほど細かいルールが多い法律です。
そこで、SNSやGoogleビジネスプロフィールの更新の際にまず気を付けたいポイントを、3つに絞ってご紹介します。
①引用・転載のルールを知る!
著作権法では、引用・転載について以下のように定義されています。
引用=自分の創作物に対する他者の創作物の割合が少ない(自分の創作物>他者の創作物)
転載=自分の創作物に対する他者の創作物の割合が多い(自分の創作物<他者の創作物)
あまりにも引用部分が多くなってしまうと、引用ではなく転載になるため注意が必要です。
転載は、基本的に公的機関の発行するデータや資料についてのみ認められています。
著作権法32条「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」
著作権法32条2項「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。」
引用・転載で気を付けたいことをまとめると、以下の通りになります。
・出典を明確にすること
・引用した部分を「」、””などでくくること
・引用するものを勝手に改変しないこと
・自分の創作部分(主)と、引用部分(従)のバランスを守ること
上記の内容に注意して、正しい引用・転載を行うようにしましょう。
②フリー素材であっても注意!同一性保持権とは?
フリー素材サイトにある画像は、許可なく利用してもいいイメージがあるかもしれません。しかし、フリー素材を利用する場合であっても著作権違反に問われる可能性があります。
第20条(同一性保持権)
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に
反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
フリー素材サイトで配信されている写真・画像は基本的に私的利用は問題ありません。しかし、そのフリー素材を商用利用する場合は著作権法違反になる可能性があります。
また、著作者には「同一性保持権」といい、著作物を勝手に編集されない権利があります。
画像の商用利用や改ざんについてはサイトによって規定が違うため、必ずサイトの利用規約に目を通し、正しく利用するように注意しましょう。
③撮影のときに、ほかの著作物が写り込んでしまった場合は?
写真や動画の撮影中にほかの著作物(キャラクター等)が写り込んでしまったり、街中の音楽が入ってしまったりしたとき、もしかしたら著作権違反に問われるかもしれません。
写り込みについても、著作権法に規定があります。
第30条の2 写真の撮影,録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて,当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は,当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし,当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。
要約すると、写り込んだほかの著作物を切り離すことは困難であることから、軽微な写り込みに関しては著作権違反に問われないとされています。
しかし、どこからが著作権違反になるかどうかは判断が難しく、個別に判断されます。
可能な限り、ほかの著作物が写り込まない状況での撮影がおすすめです。また、撮影した写真に人物が写り込んでしまった場合は、別で「肖像権」という権利が関わってくるため注意しましょう。
軽微な写り込みの例は、以下の通りです。
○写真を撮影したところ,本来意図した撮影対象だけでなく,背景に小さくポスターや絵画が写り込む場合
○街角の風景をビデオ収録したところ,本来意図した収録対象だけでなく,ポスター,絵画や街中で流れていた音楽がたまたま録り込まれる場合
○絵画が背景に小さく写り込んだ写真を,ブログに掲載する場合
○ポスター,絵画や街中で流れていた音楽がたまたま録り込まれた映像を,放送やインターネット送信する場合
一方で、第30条の2項に関係なく、許諾が必要な場合は以下の通りです。
○本来の撮影対象として,ポスターや絵画を撮影した写真を,ブログに掲載する場合
○テレビドラマのセットとして,重要なシーンで視聴者に積極的に見せる意図をもって絵画を設置し,これをビデオ収録した映像を,放送やインターネット送信する場合
○漫画のキャラクターの顧客吸引力を利用する態様で,写真の本来の撮影対象に付随して漫画のキャラクターが写り込んでいる写真をステッカー等として販売する場合
〇著作権違反にならない場合
ここまで著作権のルールを長々と記載してきましたが、もちろん著作権違反にならないケースもあります。
・好きなアーティストの写真を保存し、待ち受け画面にするなどの私的利用
・教材の一部を印刷して利用するなどの教育目的の利用
・ルールに基づいた文章やデータの引用、転載
財産的に著作者の権利を侵害しない限りは、問題ないとされることが多いようです。
〇まとめ
今回まとめた内容は著作権のほんの一部です。
著作権は知的財産権に属し、知的財産権は著作権・産業財産権・その他不正競争防止法などの3つの法律に分かれています。
わたしたちWeb制作会社にとってはどれも切り離せない内容であることはもちろん、どの業界であっても理解しておくべき内容です。
Googleビジネスプロフィールに限らず、ほかのどの媒体を使うときにも役立つ知識なので、機会があれば目を通してみてくださいね。
〇引用元
・文化庁 著作権テキスト 94089201_01.pdf 8P,9P,10P,12P,17P
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/textbook/pdf/94089201_01.pdf
・文化庁 制作について いわゆる「写り込み」等に係る規定の整備について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html
・e-GOV法令検索 著作権法
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048/20210101_502AC0000000048#Mp-At_32